秋の日差しが長い影を落とす。
働いていたころはそれほど紅葉について感じなかったし、また、紅葉の景色を見に行こうなどあまり考えなかった私であるが。私が紅葉を本当に美しいとおもったのは青森の八甲田山麓に移住先を探しに訪れた時である。市内から車で30分、八甲田山ロープウエーの乗り場の前である。確か10月下旬であろうか、開けた高原は一面紅や黄色の葉で埋め尽くし輝いていた。そのとしは、また、もっとも色ずきが綺麗な年とのことで合った。当時「200坪、200万、冬を体験してみて対応出来たら売ってもよい」といわれた。5メータは雪が積もる。幹線道路は除雪されているが、そこから自分の家まで行くには自らが除雪しなければならない。結局、遠すぎると反対され、冬体験をするまでにあきらめた。紅葉はこんな移住に至るまでのプロセスを思い出させてくれる。八ヶ岳麓は大海原のような高原ではないが、よく整備された公園の紅葉が少しずつ色づき始め、落ち葉を踏む足音が「旅愁」の気分にさせてくれる。人の少ない標高1300メータの公園、長い影が木々の秋を投げかける、こんな風景が何とも好きである。
トンボの舞に見とれたり。
赤トンボは陽だまりに集まり、親しげに私の服に留まり、秋を語りかけてくれる。飛び立つ瞬間を捉えようとしばし待つが、早いトンボの飛び立つ瞬間にピントを合わせるのはなかなか難し。数枚撮って諦め、木々や芝生の秋の色に語りかけた。
いつも見る秋の風景であるが、いつも違う秋の風景である。
公園は犬ずれが多い。中央アルプス方面がここでは西になり、夕日が落ちだす頃公園を歩く人がちょうど逆行になり、影絵のように犬ずれの散歩姿が前を通り過ぎた。思わずカメラを向けた。陽が落ちだすと急に温度も落ちる。冷たい気がすぐにやってくる高原の秋、私も急ぎ足になりながら、暮れゆく今日の一日を置くことにした。比較的暖かく紅葉が少し遅くなって立ち止まる季節のこの頃である。
平地は夏日、記録的な10月半の年である。
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